ナイト アンド ミュージック

04


4. ウィークデイ ナイト


今週は、火曜日と木曜日にカナタが泊まりにきた。
平日の夜、カナタが来るときはいつも9時ごろ、今から行くね、とメールが入る。
行ってもいい?でないところが、ミソだ。
もちろん、俺はそれを不快に思うこともないし、むしろ嬉しく思うくらいだ。

その距離感に、こんなにもわかり合えていることに。
安心する。

晩飯の、コンビニ弁当の袋を提げて、カナタは訪れる。一応チャイムを鳴らしてから、合鍵で入ってくる。
俺が何しているかなんて、全く頓着せずに。

ごく自然な流れで、俺の隣に座り、俺の点けていたテレビを見ながら、ときどき笑い、弁当を食べる。
途中から見てるのに、よく笑えるな…と感心する。

平日は、あまり深酒をしない。でも、俺に寝酒は欠かせない。
カナタにチョイスされた軽めのBGMに気分を揚げられながら、オレンジジュースで割ったジンを舐める。

早めに切り上げ、ベッドに横たわると、ほどなくカナタも入ってくる。
いつものように、ひとしきりキスを交わし、いつものように、お互いのモノを可愛がり、眠りに落ちる。

たまにカナタの寝顔を見る。
起きていると、中性的で綺麗な顔立ちだと思うのだが、寝ているとどこかあどけなく、可愛らしく感じる。

身体の関係はあるが、俺たちのそれは、濃厚なわりに、どこかドライだ。挿入しないから、ということもあるのかもしれない。
女よりも良い、というその行為に、興味がないわけではなかったが、俺は今の関係に満足していた。

一人でするよりは、心も満たされる。気持ち良いのにあまり疲れないというのも、俺的には嬉しい。翌日に響くなんてことは、まずない。
それでも、お互いに高め合い、限界を見るときの快感は、セックスのそれよりも強烈だった。
カナタの痴態を思い浮かべ、軽く興奮状態になった身体をなんとか宥める。

俺たちがこんな関係になって、3ヶ月が経つ。
いつかどこかで変化が訪れるんだろうか?
現状に至極満足している俺は、変化を望まない。

明日は、週末だ。



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